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2010年2月14日 - 2010年2月20日の記事

【Jブンガク】『松子夫人への手紙』谷崎潤一郎<英語版>

09/05/08 Jブンガク より
『松子夫人への手紙』谷崎潤一郎

 「御主人様,どうぞどうぞお願ひでございます。御機嫌を御直し遊ばし下さいまし。」


 「恋文」」のテーマで紹介する最後の手紙は,唯一実際に書かれ,郵送され,受け取られたものです。
 つまり,本物のラブレターであり,1932年に谷崎潤一郎が将来の妻・松子にあてた手紙です。
 多くの作家が鮮烈な手紙を書いていますが,この手紙は特別です。
 谷崎が美女を誘惑している一方で,実際にどのように小説を執筆していたか分かるのです。


     *     *     *


 明治から昭和にかけて活躍した文豪谷崎潤一郎。『松子夫人への手紙』はそれぞれ別の相手と結婚していた時期に谷崎が松子へ宛てた恋文である。
 昭和7年10月7日。ご主人様,どうぞどうぞ御願ひでございます御機嫌を御直し遊ばしてくださいまし。たった一言「許してやる」とだけ仰つしやつて下さいまし。一生私を御側において,御茶坊主のやうに思し召して御使ひ遊ばして下さいまし。
 終始へりくだって,松子の許しを請うている谷崎。一流の女性崇拝が遺憾なく発揮されている。
 谷崎は40歳代の後半からおよそ10年間で20通ほどの手紙を松子に宛てた。


     *     *     *


 ご紹介した中で唯一の実際の手紙なのにまるでフィクションのような印象を受けます。手紙の書き出しは「御主人様」と始まります。
 松子は谷崎に対して怒っていたようです。理由は定かではありませんが,谷崎は許しを乞い彼女の写真の前で祈っています。どうやら,彼は彼女の家を出て,その後,この手紙をしたためたようです。
 松子は谷崎の心が固まっていないと感じ,彼に対し立腹してしまったのです。そして,なんと彼に泣いて見せるよう求めたのです。
 これが事実か否か定かではありませんが,文中に「あなたが泣けと言うなら泣こう」というくだりがあるのです。彼は松子に対しまるで家臣のように従属的になってしまったのです。
 松子と当時執筆していた小説『蘆刈』のヒロインとの間に密接なつながりが見られます。このヒロインは松子だとしばしば言われております。ですが,松子のイメージを小説のヒロインから組み立てたとも考えられるでしょう。
 つまり,小説とこの手紙の間に太いパイプが通っていたのです。そのどちらが谷崎にとってより大切であったかは分かりません。
 松子はとても聡明で美しい女性でした。谷崎のこうした姿勢を彼女は見通した上で彼を許したのだと思います。むしろ,真の彼の姿,彼の芸術に対する真摯さ故に谷崎を愛するようになったのだと思います。だから,この芸術性も許せたのでしょう。

一刀両断 「御機嫌を御直し下さいまし。」

 彼は松子に「御主人様」と呼ぶなどマゾヒストな仮面を被り,捨て身な態度です。松子がどのように応じたかは不明ですが,谷崎の小説が二人の間に交わされた手紙により,さらに深いものになったことは確かでしょう。
 谷崎は映画製作や脚本も手がけていました。彼は二人の書簡のなかにも小さなドラマを作り上げたのでしょう。とても興味深いことに,著者のエゴと実在する女性に対する情熱を垣間見ることができるのです。

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20100123 葛西臨海水族園

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10/01/23
葛西臨海水族園

 葛西臨海公園の水仙まつりを見た後は,いつものように,葛西臨海水族園へ。
 いつものように,マグロの回遊を見て,癒された。

 後半,エイにタッチできるスペースがあった。
 このスペース,2009年4月から始まったような気がする。
 当初は終日エイにタッチできたようだったが,この頃には,エイにタッチできる時間が短くなっていた。
 あいにく,私の行った時間は,タッチできなかった。
 でも,水族館の生物は,触るものではない,と思っている私には,触る気力は湧いてこなかった。
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【Big Wed】VANCOUVER TODAY,これだからカーリングは面白い。

バンクーバーオリンピック,8日目。

・カーリング女子,予選。日本は第9エンドにスーパーショットが炸裂。英国に11-4で勝利。2勝2敗のタイに。

・男子スーパー大回転
 15人が棄権するという波乱。スビンダル(ノルウェー)が金メダル。

・ジャンプ,ラージヒル予選
 葛西が予選トップで決勝へ。伊東が2位。栃本・竹内も決勝に進出。

・スケルトン,男子
 越,最後の五輪は20位。その魂を引き継ぐ田山は19位に終わった。

・クロスカントリー,女子パシュート
 石田は20位。

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【Big Wed】VANCOUVER TODAY,フィギュア男子,高橋大輔銅メダル。全員入賞も果たす

 バンクーバーオリンピック,7日目。

・フィギュアスケート,男子,フリープログラムが行われた。
 高橋大輔は,フリープログラムで156.98を出し,合計247.23。銅メダルを取った。4回転ジャンプで転倒したが,その後の演技で挽回しての銅メダル。「男子初を誇りにしたい」とコメント。
 織田信成は,4回転ジャンプを回避したものの,途中で靴紐が切れるアクシデント。紐を結び直し,再度演技を続けた。しかし,点数は伸びず,153.69。合計238.54で7位となった。泣きながら「前の選手の拍手に……」とコメント。
 初出場の小塚崇彦は,4回転ジャンプを決めた。トリプルアクセルは失敗するものの,151.60。合計得点231.19で8位入賞を果たした。「普段の生活では胃が痛かったが,演技が始まると集中できた」とコメントした。

・スピードスケート,女子,1,000m。日本人最高は小平奈緒。しかし5位止まり。

・スノーボード,ハーフパイプ女子が行われた。中島志保が13位。山岡総子は16位。

・カーリング女子,予選。日本は中国に5-9で敗北。1勝2敗。

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【Jブンガク】『或る男の恋文書式』岡本かの子<英語版>

09/05/07 Jブンガク より
『或る男の恋文書式』岡本かの子

 「夢中で走りながら,まだこゝろのなかで,はっきり意識したことがありましたの」


 今回は短編小説をご紹介しましょう。岡本かの子著『或る男の恋文書式』1927年に出版されました。
 これはある女性が愛する男のもとを去る際に一気に書きあげたラブレターです。最後にどんでん返しが待っていますよ。


     *     *     *


 昭和2年に発表された『或る男の恋文書式』。作者は岡本かの子。
 与謝野晶子に師事した歌人・小説家である。
 書き出しは,あの夜,あなたと別れてから私は夢中で走ってゆきました。あなたの姿を見てしまっては,離れるのがもっとつらくなりそうだから。
 相手を思う切ないまでの心情がつづられている。
 しかしこの手紙,ふられた男性がこんな手紙がほしいと女性に送った,恋文の模範書式なのである。
 巧妙な仕掛けのなかに女心の陰翳があぶりだされた作品である。


     *     *     *


 心の流れのまま物語は進みます。彼女は闇の中,別れたくない男の下から思いを断ち切れぬまま逃げ出します。目に涙を浮かべた彼の視線を充分に感じながら。まるで連続映画かダリやマグリットの絵画を見ているかのようです。

 「夢中で走りながら,まだこゝろのなかで,はっきり意識したことがありましたの」

 手紙の最後にどんでん返しが待っていましたなんと手紙の本当の作者は,美しい女性に弄ばれた,とある男性だったのです。そして,この女性が手紙を手に筆者を訪ね,その内容と彼の行いの気味悪さを訴えたのです。振り向いてもくれない女性が自分にこのような手紙を書いてくれることを望む。読者が読んでいたのはそんな彼の作品。
 つまり,結ばれることのない相手に対する彼の妄想です。読み始めは,男の愛を信じる少しおかしな女が夜中に走り回っているかに感じ,後に実は作者は女性にこのような態度を取って欲しいと切望する男であることが発覚する。さらに,手紙はかの子のもとに持ち込まれたものだと分かり,彼女が作者ではないことが明らかになる。
 様々なレベルで語られ,レースカーテンのような繊細さが作品を現代的にしているのです。同時に作品は読者に超現実的な読書体験を与えます。


一刀両断
「何といっても昨日はうれしい夜でした」


 彼女は最後にまるで一滴の媚薬を垂らすかのように手紙を書き終えます。「何といっても昨日はうれしい夜でした」と綴っているのです。いかに過ごしたかは曖昧に書かれていますが,手紙であればそれも適切なことでしょう。
 さらに,後に作者は女性のふりをした男であると分かるのですから可笑しさすら感じます。
 岡本かの子は伝統的な日本の書簡体小説の最後尾に立っていました。おそらく,かの子は昔の手紙などを書写することで読み書きを覚えた世代でしょう。ですから,この短編は伝統に対するパロディーとも感じられます。
 この時代の読者にとっては,とても力強いパンチの利いた作品だったのではないでしょうか。

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20100123 水仙まつり @葛西臨海公園

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10/01/23
水仙まつり
葛西臨海公園

 この日は葛西臨海水族園へ,癒されに行こうと電車に乗った。
 駅に着いたところ,「水仙まつり開催中」の文字。
 今日は取り立てて急ぐ用事もなし。覗いてみようと,水仙畑へ。
 いつもはサービスセンターの角を右に曲がるような感じだが,今日は左へ。パークトレインを横目に見ながら奥へとたどり着く。
 水仙は,大観覧車の足下に植わっていた。いくつか種類のがあるのか,植物オンチの私には分かるはずもなく,ただ,ボーッと見ているだけ。

 それでも,こうして植物を見ているだけでも心が洗われるのは嬉しいもの。
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【Big Wed】VANCOUVER TODAY,お騒がせ國保は,自分の信念を貫く

 バンクーバーオリンピック,6日目。

・スノーボード,ハーフパイプ男子が行われた。
 開会前,競技前にメディアをお騒がせした國保は,予選42.5。グループ2位で決勝へ。別の組では青野が43.1を叩き出し,同じく2位で決勝進出。
 決勝。國保は自分らしさを出し,若干失敗したものの強気の競技で35.7。8位で終わった。「それでも応援してくれた人に感謝。」とインタビューで答えていた。
 青野は,フィニッシュ直前の着地で手をつくミス。29.1で9位。「この悔しい思いで終わりたくない。」とコメント。
 金メダルは,ホワイト(アメリカ)。連覇を果たす。

・カーリング女子 予選。世界ランキング1位のカナダとの対戦。第10エンドまでもつれるが,ミスショットで敗れる。日本(6-7)カナダ。

・スピードスケート 男子 1,000m。 長島は,スタート前にトラブルが続き,体が冷えたため37位。

・アルペン 女子郭公 ボン(カナダ)が金メダル。

・クロスカントリー 女子スプリント,夏見は準々決勝で敗退。男子スプリントでは,恩田が準々決勝,最後に失速し,敗退。男女ともに準々決勝で敗退してしまったのは,スキーのワックスのせいでは?

・ショートトラックは,NHKのベストセレクションでは結果のみ。かつてのお家芸もここまで邪険に扱われるのか……。

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【Jブンガク】『万の文反古』井原西鶴<英語版>

09/05/06 Jブンガク より
『万の文反古』井原西鶴

 「なじみの男としては外になし」

 今回は浮世草子作品をご紹介します。
 17世紀末期大阪商人階級育ちの俳人である井原西鶴の短編集です。
 本作の中心となるエピソードである遊女がなじみ客に手紙を書きます。一般的なラブレターとは違いますよ。


     *     *     *


 1696年に出版された『万の文反古』(よろずのふみほうぐ)。作者は井原西鶴。
 江戸初期に流行した浮世草子の第一人者である。この本は,紙くずの山から出てきた書き損じの手紙という設定の書簡体小説だ。
 その一つが「御恨みを伝へまいらせ候」。遊女・白雲(しらくも)が馴染みの客に出した手紙だ。白雲は他の客は仕事であって,あくまでも七二(しちに)が本命であると訴える。
 私にだって女の意地がある。事によっては死ぬ覚悟……。
 本来,かりそめの愛に生きる遊女が命まで持ち出して真の愛を訴え客を引き止める。
 西鶴はそのたくましさを「白雲」の恨みに乗せて描きだした。


     *     *     *


 私は,この作品のコンセプトを非常に気に入っています。西鶴がゴミ箱から出てきた書き損じの手紙をつまみ出し,その手紙の断片を様々な話にアレンジしたという設定になっています。
 白雲が客に綴る手紙も古紙として回収される前にゴミ箱から取りだしたものです。手紙の冒頭などは見つからないため,いきなり彼女の情熱的な訴えから始まり,読者は状況をなかなか掴めません。
 白雲は傷つき,恨み,心を痛め,手紙を書きながら手が震えるなど激しい情熱に苦しんでいます。その情熱はなじみ客が心変わりしてしまう恐れから来るもの。二人の間に距離ができてしまったことを察知したのです。
 教養がある上品な遊女にはお客様にたくさんの手紙を書くことは欠かせない。なじみ客を引き留めておくために,自分の所に通い続けるように,客を逃すまいという彼女の猛烈な必死さが話を盛り上げています。西鶴の作品にはよく見られる特徴です。西鶴の周りの人々の様々な事情が見えてきます。お金や生死にかかわる問題などメロドラマ的な出来事を,西鶴は手紙の断片を貼り合わせることによって探っていきます。非常に巧みなアイデアをとても面白く軽快に描いています。


一刀両断
「それは御気づまりにて……」


 手紙は全て西鶴が作り上げたものですが,実は当時の流行が反映されています。ここにある本は江戸時代末期に出版された恋文を書きたい若者のための手引きです。12例くらいあります。
 例えば,男性が好きになった女の子宛に書く手紙,そして彼女の返事,一晩をともに過ごした男性に翌朝女性が送る手紙,若い男性が美しい寡婦に宛てて書く手紙など,様々な状況に対応した良い恋文の書き方を指導する本です。
 本自体がまるで手書きであるかのように印刷されています。習字のお手本にもなるんですね。
 さらにお付き合い中どう振る舞うべきかを説明するイラストもあります。例えば,三味線が上手な人はあまり長く弾くべきではない。相手が聞き飽きる前に披露はやめた方がよいなど,19世紀半ばの日本の恋人たちにとって,欠かせないアドバイスが詰まっています。

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20091230 ニューイヤーピルスナー@オールド・オウル

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 ここのところ,毎年恒例となりつつある,イクスピアリのニューイヤーズピルスナー。
 何倍でも飲めるように苦味が少なく,飲みやすい。
 ホップの香りがあるが,以前飲んだインディア・ペールほどではない。

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【Big Wed】VANCOUVER TODAY,フィギュアスケート男子,ショートプログラム。高橋のステップは嘘をつかない

 バンクーバーオリンピック,5日目。

・フィギュアスケート,男子のショートプログラムが行われた。
 小塚崇彦が79.59で8位。
 織田信成が84.85で4位。
 高橋大輔が90.25で3位。高橋のこの得点は,自己ベスト。
 アメリカのライサチェックが90.30で2位。高橋との差は0.05。
 1位はロシアのプルシェンコ。90.85。
 高橋の演技を見ていると,ステップは嘘をつかない,という気がした。よく,野球で,投手力もない,打撃も弱いチームが守備と走塁で打開を図るというのを見る。スモールベースボールのようなものだが,フィギュアスケートにおいても,似たようなことが言えるのではないだろうか。スピンだけでなく,ジャンプだけでなく,ステップによって,自分の演技にリズムをつける。このことは,今後のフィギュアスケートで一つの布石になってくれればと思う。
 さ,これで,フリーが楽しみになってきた。

・カーリングは予選が始まった。
 女子では,日本がアメリカと対戦。9-7で初戦を飾った。
 この勝利で弾みが付けばいいなぁ。

・スピードスケート,女子500mが行われた。
 岡崎朋美は,1分18秒03で16位。本人は「自分にとってプラスの4年間」と言っていた。
 新谷志保美は,1分17秒72で14位。
 小平奈緒は,1分17秒63で12位。
 吉井小百合が,1分16秒99で5位入賞を果たした。本人曰く「500mの中で5番は自分の中で良かったと思う。」
 金メダルは,韓国のイ・サンファ。1分16秒09。
 なまじ過去にメダルを取った競技は,メダルメダルと騒がれてしまうが,今の日本の実力はこんなものだ。

・スノーボードクロス,藤森由香は棄権した。

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【Jブンガク】『薄雪物語』作者未詳<英語版>

09/05/05 Jブンガク より
『薄雪物語』作者未詳

 「添はぬ昔は思ひあり,逢ふての今は いよいよ深き思ひぐさの,御はもじながら,」

 これから紹介していく4つの作品は「恋文」がテーマです。
 今回の『薄雪物語』は17世紀初頭の作品であり,若い男と女のラブレターのやりとりを通じて恋の顛末を追っていきます。
 二人が交わした手紙を全て紹介したいくらいです。

     *     *     *

 1600年代に流行した娯楽的読み物「仮名草子」。その代表作の1つが,この『薄雪物語』。
 男女の恋文のやりとりを通して描かれた書簡体小説である。主人公,園部の衛門(そのべのえもん)は,偶然見かけた薄雪に一目惚れをし,ラブレターで猛アタックを開始する。
 人妻であった薄雪は,貞節を説いてきっぱりと断る。しかし,園部の衛門はあきらめない。
 やがて,薄雪は情に負けて2人は恋に落ちる。その幸せもつかの間,薄雪は急死してしまう。
 和歌などの故事を引用しながら,恋のゆくえを,情熱的かつ優美に描き出している。

     *     *     *

 この作品のほとんどが二人の手紙の応酬によってく制されています。
 女は17歳の人妻であり,恋の遊びをしている場合ではない。
 男は一目で恋に落ちてしまうが,女の心をなかなか掴むことができない。
 彼女にたくさんの手紙を書く。手紙には和歌などの故事の引用が含まれ,そのやりとりが作品の中核となる。

「忘れなよ ほどは雲居(くもゐ)に成ぬとも そらゆく月のめぐりあふまで」

(意訳)距離は遠くなっても,どうか忘れないで下さい。ふたたびお目にかかるまで。

『伊勢物語』より

 ある手紙に書いた和歌では彼女への愛を激しい川に架かる木の橋にたとえ,女は雨の中橋を渡るのが恐いと返事する。
 二人はこのような比喩を通じてお互いに近づいていくが,男は何度も背かれる。
 しかし,女は断りながらも徐々に男に惹かれ,男を追いやろうとしながらも誘惑に負けていく。
 面白いことに手紙に用いられている和歌の多くは古典作品であり,オリジナルではない。
 『伊勢物語』,『大和物語』,『平家物語』などから引用したもの。当時の読者は,現代的な恋愛物語を通じて,古典文学に触れることができた。とても斬新な工夫が凝らされている。

一刀両断 「忘るなよ。」

 常緑の松葉のように,永遠の愛が欲しいと願う女は,「忘るなよ。」という。
 しかし,彼女は身分が高い貴族と結婚している身。当然二人の関係は許されない。
 夫を離れることがない限り,男と幸せになれない。
 それが全て手紙の贈答を通じて繰り広げられている。
 手紙は日本文学を通じて非常に大切な意味を持っている。文字の書き方を,手紙を書き写すことによって勉強していたのだ。
 そのような教育的要素も本作に込められている。
 もう一つ面白い点は,日本文学は多声的なものが多く,多くの声が飛び交います。話は理論的に進んでいくよりも登場人物の視点を縫っていく。それは手紙を書く文化があったからこそ生まれたのではないだろうか。

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【Big Wed】Hoop!!,bj League!!,20100113,東京(55-76)京都

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Stadium 10-01

10/01/13
bjリーグ2009-2010
東京アパッチ(55-76)京都ハンナリーズ
@国立代々木第二体育館

 見ていても,全然勝てるように思えない試合。
 考えてみれば,チームが動き出して,まだ数ヶ月。オープン戦(もしくはプレシーズンマッチ)のような状況だから,勝てないのは当たり前。
 どう立て直すかが課題。

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 3Qと4Qの間には,電撃解雇となった,ニック・デービスに対して,ブースターの怒りの大合唱が行われた。
 それにしても,写真を見ると分かるとおり,観客が少ない……。

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【Big Wed】トピックス,2月7日(日)~13日(土)

 一週間の気になるスポーツニュースをピックアップ,【BigWednesday】
 2月7日(日)から一週間のヤフーのトピックスを見てみよう。

f 2戦連続ドローに大ブーイング
  遼スコア伸ばせず暫定12位タイ
b 小瀬選手を選手ら涙の見送り
  別大マラソン キプコリル優勝
  陸上の丹野麻美選手が婚約
  大相撲トーナメント 豪栄道V
b 雄星に涌井「思いっきり投げろ」
  亀田大毅が世界王座を獲得
  石川遼 今季米初戦は32位タイ
b 尚成移籍先にパイレーツ浮上
  サントリー清宮監督が辞任へ
  亀田大毅戦の視聴率は19%
b ハム中田 外野実戦デビューへ
  愛子に朗報、斜面は日本向き
  大毅 世界王者「まだ実感ない」
b 選手ら 小瀬さんに最後の別れ
  吉田秀彦 4月25日に引退興行
b 楽天開幕投手は4年連続で岩隈
b 真弓監督が「3番鳥谷」を明言
b 野茂氏がフリー打撃に登板
b 雄星、花巻便欠航も謎の帰省
  聖子団長「メダルは長野目標」
  亀田大、減量苦で王座返上も
f なでしこ逸材 16歳FWデビュー
  上村愛子 本番コースで初練習
  朝青龍と示談した男性を聴取
b ポスト赤星マートン 守備は?
f 代表 練習試合でFW全員ゴール
b 原監督、育成1位星野を絶賛
  スノボ村上、パーマに5時間
  加藤、原因不明の大スランプ
  朝青に功労金、金額は非公表
  フィギュア、高得点出すには?
b 中込元投手 台湾八百長で起訴
f 平山「自分が決める気持ちで」
f サッカー中国代表 韓国に完勝
f 俊輔 レンタル移籍でJ復帰か
b 城島 3月3日ハム戦でデビュー
  JOC スノボ国母の服装を注意
f なでしこ快勝、16歳岩渕2得点
f 日本、玉田の2得点などで快勝
  モーグル 天候次第で延期視野
  高橋大輔 金へ「4回転入れる」
  内藤大助「負けたら大変だよ」
b 尚成、メッツとマイナー契約
b 野茂氏「今年はカープファン」
f 闘莉王皮肉「10点取れた試合」
  石川遼 初日出遅れ125位タイ
  個人ノーマルヒル 岡部外れる
  スノボ国母「反省してまーす」
  朝青の功労金に力士らは納得
  公式練習 織田、小塚が4回転
  亀田興の初防衛戦は3月27日
b 宮崎市長、鷹Vパレード構想
  スケート刃 速さ磨く究極技術
  チーム青森「強豪と互角に成長」
  ジャンプ予選 日本勢4人が突破
  国母が謝罪 開会式出席も自粛
  リュージュ グルジア選手事故死

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【Big Wed】VANCOUVER TODAY,スピードスケート男子,加藤「銅メダルがこんなに悔しいなんて」

 バンクーバーオリンピック,4日目。

・スピードスケート,男子500mが行われた。
 長島圭一郎が銀メダル,加藤条治が銅メダルを取った。
 加藤条治のコメント,「銅メダルがこんなに悔しいなんて……」は印象的だった。加藤と長島はお互い意識しあうライバル。そのライバルが互いに切磋琢磨して築きあげたメダル。傍目には,メダルだからいいじゃないか,とは思うが,二人の間では,少なくともアイツよりは上の順位,というのがあったのだろう。だから,加藤のコメントに繋がっていった。
 製氷車のトラブルのため,途中1時間半ほど中断したが,その中でも緊張感を切らずに,集中できた二人は敬意を表する。
 前回,ほんのわずかの差でメダルにとどかなかった及川は13位。100mのスタートダッシュが良かっただけに残念だった。


・フィギュアスケート,ペアのフリープログラムが行われた。
 昨日に引き続き,ロシア代表,,川口悠子・スミノルフ組が出場した。
 協議直前,ジャンプを3回転に落とし,確実性を求めたが,結果が裏目に出てしまった。最初の三回転で手をつき,後半のトリプル・ループで着地に失敗してしまった。これで,長く続いた,ロシアの連続メダルが途絶えてしまった。
 川口悠子の「緊張を楽しめた2日間だった。」というコメントには救われた。

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【Jブンガク】『松子夫人への手紙』谷崎潤一郎

09/05/01 Jブンガク より
『松子夫人への手紙』谷崎潤一郎

 「ご主人様,どうぞどうぞ,お願ひでございます。御機嫌を御直し遊ばして下さいまし。」

サラサ「こんな手紙をもらったら,お姫様気分になってしまいます。」
ロバート「谷崎の恋愛術にはまりましたね。」


 依布サラサ曰く,「恋文ドラマな本」


     *     *     *


 明治から昭和にかけて活躍した文豪谷崎潤一郎。『松子夫人への手紙』はそれぞれ別の相手と結婚していた時期に谷崎が松子へ宛てた恋文である。
 昭和7年10月7日。ご主人様,どうぞどうぞ御願ひでございます御機嫌を御直し遊ばしてくださいまし。たった一言「許してやる」とだけ仰つしやつて下さいまし。一生私を御側において,御茶坊主のやうに思し召して御使ひ遊ばして下さいまし。
 終始へりくだって,松子の許しを請うている谷崎。一流の女性崇拝が遺憾なく発揮されている。
 谷崎は40歳代の後半からおよそ10年間で20通ほどの手紙を松子に宛てた。


     *     *     *

ロバート「今回取り上げたラブレターな本のうち,唯一本物の手紙です。」
サラサ「プロが書いた本で,出演者が谷崎と松子夫人,そして,監督も谷崎,という感じです。」

 「私に取りましては芸術のためのあなた様ではなく,あなた様のための芸術でございます。」

ロバート「『蘆刈』(1932),父子二代にわたる男の思慕と愛情の物語に松子夫人をモデルにした女性が登場している。」
サラサ「松家さんがいたから書ける,『松子サイクル』に引かれる。」


一刀両断
「御機嫌を御直し遊ばして下さいまし」


 実は,キャンベル先生と松子夫人には,ある秘められた接点があった。
 キャンベル先生(当時20代)と松子夫人は,新宿のディスコに行ったことがある!!

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20100117 「エレメント 構造デザイナーセシル・バルモンドの世界」@東京オペラシティ・アートギャラリー

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10/01/17
「エレメント 構造デザイナーセシル・バルモンドの世界」
東京オペラシティ・アートギャラリー

 これは,驚愕の展覧会!!
 「医学と芸術」展も良かったが,こちらも双璧をなす素晴らしさ。
 今回の東京オペラシティアートギャラリーは,建築の展覧会。様々な構造の建築を紹介している。

 その中でも白眉なのが,《H_edge(ヘッジ)》2009。

H型のアルミプレートとチェーンのみで成り立つ立体作品。プレートもチェーンも単独では自立しませんが、規則的に組み合わせることでお互いを支え合い、内にも外にも無限のひろがりをもった迷宮のような空間を作ります。
 と説明があるが,薄っぺらいアルミプレートとチェーン,これだけで,ジャングルジムのような作品を作ってしまうのだ。  どのように作っているのか?  建造物の端の部分はどのように処理をしているのか?  思わずしゃがみ込みながら,観察してしまった。

 私にはよく分からなかったが,でも,この建造物を見るとぽかぁんと口を開けたままになってしまう。
 これだけでも,十分面白い。

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【Big Wed】VANCOUVER TODAY,ノルディック複合,小林範仁「攻めて7番,価値ある7番」

 バンクーバーオリンピック,3日目。

・ノルディック複合,ノーマルヒルが行われた。
 ノルディック複合は,ルール改正があり,1日で競技(ジャンプ,クロスカントリー)を行うため,ジャンプは1本のみとなった。かつて,日本が強かったとき,ジャンプが2本あり,その時の貯金で勝っていたが,今はそれが出来ない。クロスカントリーが強い選手が上位に行く。
 日本人では,小林範仁選手が,7位に入賞した。
 ジャンプでは99mと出遅れ,ジャンプの1位とは58秒差でクロスカントリーを迎えた。1位の選手が転倒したため,距離が縮まり,首位グループを形成する事ができた。

 ラスト1周,時計で言うと,22分13秒から約1分強,小林選手は先頭に立った。中継を見ていた日本人は興奮しただろう。「ひょっとしたらメダル?」なんて。
 その後,何人かに抜かれ,7位でフィニッシュ。それでも7位入賞は,胸を張れる結果。国際配信の中継で一瞬でも首位に立ったことを,小林選手は喜んでいた。

 このノルディック複合,クロスカントリーのスキー板,ワックスのチョイスがベストマッチだと思った。裏方さんのおかげ。

・フィギュアスケート,ペアのショートプログラムが行われた。
 日本の出場はないが,ロシア代表として,かつて日本人で,ロシア国籍を取得した,川口悠子・スミノルフ組が出場した。
 ヨーロッパチャンピオンという,名前をひっさげての出場。スピンでは若干ズレがあったような気がした。また,ジャンプの着氷では,「何とか持ちこたえた」と感じ取れるようなところも見せたが,それでも自己ベスト74.16を出すところは,地力のある証拠。
 しかし,上には上がある。中国の申雪・趙宏博が76.66という世界最高得点を出し,首位に。これでは川口も手が出ない。
 それでもフリーでの逆転を夢見て。

・男子モーグルでは,日本人初の入賞。遠藤尚が7位。
・女子スピードスケート,3,000mでは,穂積雅子が6位入賞。

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【Jブンガク】『或る男の恋文書式』岡本かの子

09/04/30 Jブンガク より
『或る男の恋文書式』岡本かの子

 「夢中で走りながら,まだこゝろのなかで,はっきり意識したことがありましたの。」

サラサ「すっごく読みやすかった。」
ロバート「ある意味,あまり見かけないタイプの本だね。」
サラサ「男の人ってこんなにロマンチックなんだね。」
ロバート「でも,読んでいるうちに,とんでもないどんでん返しがくるよ。」


 依布サラサ曰く,「言い訳女性と素直な男性のラブレターな本」


     *     *     *


 昭和2年に発表された『或る男の恋文書式』。作者は岡本かの子。
 与謝野晶子に師事した歌人・小説家である。
 書き出しは,あの夜,あなたと別れてから私は夢中で走ってゆきました。あなたの姿を見てしまっては,離れるのがもっとつらくなりそうだから。
 相手を思う切ないまでの心情がつづられている。
 しかしこの手紙,ふられた男性がこんな手紙がほしいと女性に送った,恋文の模範書式なのである。
 巧妙な仕掛けのなかに女心の陰翳があぶりだされた作品である。

     *     *     *

ロバート「振られた男が女性に送った恋文の模範書式をせがんでいる。男の人が何かくれよ,とせがんでいるように思える。しかも,それを女性作家が書いている……。マトリョーシカのようだ。」
サラサ「女性の恋文が非常に綺麗。」
ロバート「絵画的で,ダリやマグリットの描いた絵のようだ。」

一刀両断 「何といっても,昨日はうれしい夜でした。」

ロバート「作家の岡本かの子は,手習いのため,初刊の文例集をパロディーにしていたのではないだろうか?」

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20100117 近代日本の美術@東京国立近代美術館

Ca331881
10/01/17
近代日本の美術
東京国立近代美術館

 この日は,14時からのボランティアによる所蔵品ガイドを聞くことに。
 一つ一つ丁寧に説明してくれるボランティアは,(未だに)美術館初心者の私に非常に優しい。
 こういうガイドを目当てに美術館に行くのもいい。
Ca331880

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先週のアクセス解析

2010年2月08日(月) 067 ★★★★★ ★★
2010年2月09日(火) 069 ★★★★★ ★★
2010年2月10日(水) 067 ★★★★★ ★★
2010年2月11日(木) 058 ★★★★★ ★
2010年2月12日(金) 057 ★★★★★ ★
2010年2月13日(土) 076 ★★★★★ ★★★
2010年2月14日(日) 047 ★★★★★

 ハイ,先週もアクセスは少ない。
 ハイ,私のせいだ。
 頑張ります。

 今週もご愛読感謝。

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【Big Wed】VANCOUVER TODAY,上村愛子,ウエアの疑問

 バンクーバー五輪2日目。

 この日の注目選手は,スキーフリースタイル,モーグルの上村愛子選手。
 メダルが近い,と事前では騒がれたが,結果は4位。惜しいところでメダルを逃した。

 メダルを逃した原因はいくつかある。昨季,非常に好調だったようだが,ピークを昨季に持ってきたのではないか,ということ。昨季が好調すぎて,ライバルに研究されたこと等々。数え上げたらきりがない,と本人の言葉が当てはまるかもしれない。

 この辺のピークをどこに持ってくるか,ということの他,気になるのが,彼女のウエア。それもボトムに関すること。
 モーグルでは,ターンが重要視されるので,ウエアは膝の部分が目立つようハイライトになっている。
 競技中,両膝がくっついているのが見て分かるためだ。
 上位進出者のウエア(といっても,見たのはメダリストの映像くらいだが)は,皆,膝の部分がハイライトになっていた。しかし,上村愛子のウエアだけは違っていた。ボトムは全て同一の模様。もし,これが膝部分ハイライト仕様になっていたら審判の心象も違っていたのかも……。

 最近では,道具のチョイス一つ間違えただけで,メダルを逃す場面もあるようだ。ウエアの選択がメダル圏内との境界になった,と言われないではないだろうか。

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【Jブンガク】『万の文反古』井原西鶴

09/04/29 Jブンガク より
『万の文反古』井原西鶴

 「なじみの男とては外になし」

ロバート「さすが井原西鶴の書いた本ですね。」
サラサ「フツウの恋文はふわふわしたロマンチックなものなのに,この本は違う。」

 依布サラサ曰く,「ひとり西鶴劇団な本」

     *     *     *

 1696年に出版された『万の文反古』(よろずのふみほうぐ)。作者は井原西鶴。
 江戸初期に流行した浮世草子の第一人者である。この本は,紙くずの山から出てきた書き損じの手紙という設定の書簡体小説だ。
 その一つが「御恨みを伝へまいらせ候」。遊女・白雲(しらくも)が馴染みの客に出した手紙だ。白雲は他の客は仕事であって,あくまでも七二(しちに)が本命であると訴える。
 私にだって女の意地がある。事によっては死ぬ覚悟……。
 本来,かりそめの愛に生きる遊女が命まで持ち出して真の愛を訴え客を引き止める。
 西鶴はそのたくましさを「白雲」の恨みに乗せて描きだした。

     *     *     *

「今更なげき申事にはあらず候へども,あまりなる御しかた,むごひとも,つらひとも,恨みありとも……」
ロバート/サラサ「強い文面から入ってくることにビックリ。」
ロバート「彼女は恋の職人ではないだろうか?」
サラサ「私は素直に,恋人に戻ってきて欲しいと思った。」

 『万の文反古』には,さらに面白い話があった。

ロバート「江戸に行ったが,商いに失敗し,帰るお金がない話だとか,子供に書き残す親の手紙などもあったりする。」
サラサ「性別や年齢,職業がバラバラの手紙があり,非常に面白い。」


一刀両断
「それは御気づまりにて……」

サラサ「一緒にいて気まづいというのは痛い台詞だ。」
ロバート「当時は,決まり台詞など恋の指南を書いた『恋の千話文(ちわぶみ)』というHow to本があった。」
サラサ「私,読みたい~。」

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20100111 きょうの小ネタ~東京タワー2010

Ca331873
10/01/11
 六本木ヒルズの森美術館へ行こうとしたところ,なにやらライトアップされた建築物が。
 あれま,東京タワーではないか。
 展望台部分には"2010"が煌々と光っている。
 思わず,写真に撮ってしまった。

 うまく見えるだろうか?

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