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[Life]その4 口癖

 中学高校と(私が)所謂反抗期を迎えている頃,我が家でもご多分に漏れず,親子げんかがひっきりなしにあった。
 母親は自分の思うとおりに育てようとするし。私は自分の考えで生きようとする。そこに,ギャップが生じるのである。

 その頃の母親の口癖と言えば,
「親の世話になっているうちは,親の言うことを聞きなさい。」
 である。
 今思えば,こういう考え危ないよなぁ。
「親の世話になっているうちは,親の言うことを聞きなさい。」
 が正しいならば,
「親の世話になっているうちは,親が『泥棒してこい』と言ったら,泥棒する」だもんなぁ。

 ただ,大学で児童虐待に関する授業を習っていたとき,担当教授がこんな話をしていた。昔のこと何で記憶があやふやだが。
「どれだけ虐待されても,子供は親の愛情が欲しくて親の言うことを聞く。例え,親から暴力を受けても,『転んでぶつけました。』と言い訳し,親をかばうことがある,そうだ。」

 私は,「親の世話になっているうちは,親の言うことを聞きなさい。」には,今でも反対の立場に立っているから,親をかばうことはしないけれど。

 閑話休題。

 母親の口癖は,時と共に変わっていった。
 仕事するようになったら,
「自分で生活できるようになったんだから,一人暮らしをしなさい。早くこの家を出て行け。」
 になった。
 普通に考えれば,この台詞は,真っ当だ。しかし,私は家を出ることはなかった。
 なぜか。親を二人だけにすることに不安だからだ。

 母親は,前にも書いたが,勝ち気な性格。自分がこうと決めたら,てこでも動かない。自分が悪いと思っても,頭を下げることをしない。そんな母親と父親との二人だけになったらどうなることやら。
 人間,一人なら寂しい。二人なら喧嘩になる。三人なら何とかやっていける。昔,小学校の国語の教科書に載っていた駅員の話。そのことが,どうも,頭の中にあったので,家を出る気になれなかった。

 でもね。
「早くこの家を出て行け。」
 と,ことあるごとに言われるのは,厳しいよ。今でこそ,言われなくなって,それはそれで寂しいけれど,何かにつけて,母親が怒り出すと「早くこの家を出て行け。」と言われるのは,どうもね。

 しかし,その台詞も,母親が病気をするようになってから言わなくなった。入院する前くらいかなぁ。病気を隠しているが,状態が良くない頃から。「出て行け」とは言わなくなった。

 病気で入院してから,「親の言うことを聞け」や「出て行け」は言わなくなり,別の台詞が口癖になった。
 今までの勝ち気な性格からは考えつかない言葉。
 本人曰く,言いたくても言えなくなるときが,いつか来るから,今のうちに言うんだ,とのこと。

 その言葉は「ありがとう。」

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