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【Jブンガク】『平家物語』作者不詳<英語版>

09/05/19 Jブンガク より
『平家物語』作者不詳

 「名のらせ給へ。たすけ参らせん。」

 これから4回のテーマは「ハッとする一瞬」。劇的なアクションストーリーの山場です。
 最初は平家物語の一巻『敦盛最期』。
 平家物語は12世紀の日本の戦を描いた一大叙事詩です。


     *     *     *


 『平家物語』は12世紀に権力を握った平家一門の栄枯盛衰を描いた長編の軍記物語である。
 巻9「敦盛最期(あつもりのさいご)」は,一ノ谷の合戦が決着し敗走する武将・敦盛を,源氏の武士,熊谷直実(くまがい・なおざね)が目にするところから始まる。
 敦盛の幼い顔に自らの息子の面影を見出した直実は、その場から逃がそうとする。しかし,敦盛は,「ただ落ち着いて,早く首を取れ」と促す。
 ついに直実は,泣く泣く敦盛を手にかけるのである。
 武士としての行動と人情の板挟みになる直実と,死を静かに受け入れる敦盛。2人の切ない物語である。


     *     *     *


 「おごれる人も久しからず。ただ春の夜の夢のごとし。たけき者もついには滅びぬ。ひとえに風の前に塵に同じ。」
 平家物語はこのように始まります。「おごれる人」,「たけき者」は平家一族。
 敦盛は年の瀬,16,17歳の若武者で敵から逃走中。年長の武士・直実に捕らえられます。
 この対面の場面がハッとする一瞬です。直実は野心的ですが位の低い武士でした。
 格闘の末,敦盛の兜を剥ぐと見目うるわしい青年。薄化粧をほどこし公達の習慣であるお歯黒をしていました。
 直実は17歳の自分の息子によく似た敦盛を殺したくありません。子を殺された親の悲しみが理解できるからです。
 葛藤にかられる直実。敦盛は名を尋ねられても名のりません。しかし,この首を討ち取って人に見せたら,誰でも知っているだろうと答えます。直実は敵に対して父親のような愛情を抱いてしまいます。
 敦盛を逃がしてやりたいが,仲間の手前それはできません。
 敦盛は見かけは繊細ですが実は勇猛な武将。
 死の瀬戸際でも力強い口調で自らの誇りを訴えます。

一刀両断 「ただ とくとく頸をとれ」

 平家物語は戦いに敗れた落人の話ですが,英雄対悪者,全対悪の区別はありません。
 腐敗した平家一族を滅亡させるという神の意志を背景に敵も味方も英雄となり,どちらが善人でも悪人でもないのです。
 これは日本の古典文学の特徴です。一方を完全なる悪と決めつけることなく両者の心のせめぎ合いを描いています。この傾向は平家物語以降の文学にも受け継がれています。

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