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【Jブンガク】『米欧回覧実記』久米邦武<英語版>

09/04/22 Jブンガク より
『米欧回覧実記』久米邦武

 「平沙無垠(はてしなく),夐(はるかに)不見人,河水榮帯(えいたい),群山糾紛」


 「米欧回覧実記」は約3年間をかけて欧米を歴訪した際の報告書です。
 新政府の官僚や政治家が集まり,旅を通じて世界を知ろうとしました。日本がどのように西欧と遭遇したかを知る重要な歴史的記録でもあります。
 現代の読者は,ここに当時の日本人の思想を垣間見ることができます。


 1878年に出版された『米欧回覧実記』。作者は久米邦武。
 明治新政府が派遣した岩倉使節団がアメリカからヨーロッパを歴訪した記録である。
 使節団は,岩倉具視を筆頭に政府の中心人ら総勢46名。久米もその中の一人。
 視察の成果は国民の利益と啓発に役立たせるという明確な目的を持った旅である。
 日本しか知らなかった彼らにとって初めて見る世界の光景に驚きの連続。筆舌に尽くしがたい様子を描写しようとする苦悩は文中からも伺える。アメリカでは,自主と独立を重んじる政治体制にカルチャーショックを受け,イギリスでは,工業の進歩にその国力の源を見出す。
 まさに世界の動向を見つめた使節団の旅のすべてをきめ細かく記録した報告書である。


     *     *     *


 明治維新前の日本は270年近く鎖国状態でありました。一行が海外で何を経験したとしても非常に衝撃的でカルチャーショックを受けていたことでしょう。彼らは西洋現代文化の最高峰を見ることを期待しました。欧米各国に導入されていたあらゆる制度や技術を学ぼうとしたのです。
 しかし,予想していたものと実際に目にしたものは違いました。まずはゴールドラッシュで大盛況のサンフランシスコを訪れます。当時,町は新しくとても裕福でした。その後,一行は北米大陸を横断するため鉄道に乗ります。非常に刺激的ですが,少し恐くもありました。シエラネバダ山脈を越え,ロッキー山脈に入ります。ユタ州に入る前には,フンボルト谷,そして,砂漠地帯が現れます。車窓から見えたのはアメリカ先住民。この頃すでに白人の開拓移民に土地を取り上げられ,弾圧を受けていました。駅ではアメリカ先住民が列車(※テロップでは「電車」となっているが,この頃,まだ電車は,なかったはず。)の外に集まっています。
 日本人の一行は,それまで出会ったことのない人種,聞いたことのない言葉に遭遇したのです。あたりは見渡す限りの荒野。日本では見たことがない辺境です。雪に覆われた高い山脈。山を下ったらそこは砂漠地帯。これらをどうやって日本語におきかえるか……。当時の人たちにとっては難題でした。

一刀両断 「午後ニ,府ノ東鄙ノ温泉ニ至ル,市中ヨリ一英里《マイル》余ナル山角ニアリ,鹹泉《かんせん》ニテ温度ハ肌ニ適ス」


 山を下り,ソルトレイクシティに行き着くと,嬉しいことに温泉がありました。温泉でゆっくり休みます。
 一つ念頭におかなくてはならないのは,彼らにとって,楽しむことを目的にした旅ではなかったということです。
 帰国して,報告書を出版することによって,日本国民を教育するという目的がありました。
 実は,本書は旅の出発前から企画されていた。つまり,帰国して滞在記を書こうと決めたのではなく,書くことを考えながら旅をしたのです。実際,移動中の多くの決断は,その後どのように書き進めるかを考慮しながらなされました。
 いかに欧米について明らかにし,国民を教育するか,そのねらいが本書から見て取れるのです。

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