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【Jブンガク】『好色一代男』井原西鶴<英語版>

09/04/21 Jブンガク より
『好色一代男』井原西鶴

 「女護の島にわたりて抓(つか)みどりの女を見せん。」

 こんにちは ロバート・キャンベルです。目の前にあるのは,1682年,大阪で出版された『好色一代男』。
 主人公 世之介は7歳から60歳生涯を通じ,3,742人の女性と情を交わします。
 バイセクシュアルでもあり,725人の男性とも性的関係を持ちます。
 世之介の恋愛遍歴物語は,何世代にもわたって読者を楽しませ,映画化などもされています。

     *     *     *

 舞台は元禄時代(17~18世紀初頭)。町人主体の享楽的な文化が花開いた。
 世之介はプレーボーイ。生涯を通じて情を交わした相手は,女3742人,男725人!
 家族は居ないが,優しく美しき女を求めて諸国をさすらう。
 そして,世之介60歳,ついに女だけが住む女護の島へと船出する。
 西鶴は江戸時代の文学に現実的で娯楽的な詳説と言う新たな世界を開いた。

     *     *     *

 世之介が生まれた大阪は,彼の親や祖父母の世代とは様変わりをしています。元禄へと続く1680年代,商人が経済力を持ち,町人主体の文化が花開きました。とても自由な文化が急速に発達したのです。
 世之介は愛を求め,日本中を旅します。
 例えば15歳の時,美しい未亡人に口説かれ,2人は逢瀬を繰り返します。子供が生まれますが,15歳の世之介には養う力がなく,子どもを捨てなければなりません。
 本作にはこのような衝撃的なエピソードもあれば,当時の大阪当人の生活を描いた悲しい話もあります。

 最終巻の最後,60歳になった世之介は船に乗り込み,この世を去ることになります。女しかいないパラダイス島「女護の島」に向かうのです。数人の仲間と船に乗り込み,媚薬などの「責め道具」を詰め込み,島で生まれる赤ちゃんのために産衣までも準備します。
 話の終わり方としてはとても面白く笑い祖誘いますが,同時に悲しくもあります。
 旅立ちはしたが,何処に行きつくかわからない。戻ってkるすべもありません。人情味をたたえた,とても深い場面でもあります。

一刀両断 「それこそ願ひの道なれ」

 この作品の結末について6つくらい解釈があります。
 封建主義や資本主義にうんざりした世之介が日本列島を飛び出すという説。
 「源氏物語」や「伊勢物語」をパロディー化し,昔話を再現しようとしたという説。
 私が一番気に入っている解釈は,仏教の「補陀落渡海」を下敷きにしたパロディーという説です。僧侶は荷を積まずに船に乗り大海に出る。自殺とも言える入水往生。観音浄土をめざした敬虔な僧侶の「行」です。
 「補陀落渡海」は江戸初期まで行われていたので,同時代に活躍した西鶴も知っていたのでしょう。
 当時の読者には,2つの意味の含みがあったのではないかと思われます。

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