【Jブンガク】『学問のすすめ』福沢諭吉<英語版>
09/04/07 Jブンガク より
『学問のすすめ』福沢諭吉<英語版>
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと云えり。」
こんにちは。ロバート・キャンベルです。
私は30年間,日本文学に携わっています。
今日からこの番組を通じて日本文学の名作をご紹介していきたいと思います。
とくに若い方に興味を持っていただきたいですね。
最初の本は福沢諭吉の『学問のすゝめ』
題名は退屈かもしれませんが内容は違います。
現代の私たちや生活にも役立つアドバイスや知識が満載です。
* * *
『学問のすすめ』は,全17編から成る。
初編が出版されたのは1872年。
作者は,福沢諭吉。
慶應義塾大学の創設者。
近代日本の代表する思想家だ。
『学問のすすめ』は,文明開化の明治初期に出版された,当時の大ベストセラーだ。
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと云えり。」
冒頭の一説で説くのは人間の平等だ。
平等であるには自分で考え行動できるよう「独立」しなければならない。
「独立」こそが日本が一人前の国家として新時代を生き抜く指針となると説いている。
福沢は「独立」のために新たに身につける「学問」を読者に「すすめ」ているのである。
* * *
当時,福沢諭吉は有名な啓蒙家であり教育家でした。
現代では一万円札の顔として親しまれています。皆さんも1枚や2枚はお財布に入っていますね。
本書は「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と始まります。つまり,人間は平等であるという宣言です。
しかし,平等でありたいのなら人生の目標や自分の限界を知ること
独立していなければいけないと説きます。
独立した人間が集結すれば独立した力のある町家国が作られる
福沢諭吉の目標の一つは強く豊かな国を造り日本を海外進出させることでした。
独立した人間になるには学問が重要だと福沢は説きます。
何をどう学ぶかそれ以上になぜ学問が重要なのか
身分の高い人とそうでない人の違いは学問にある
どのように学習したのか その知識をどう現実社会で活用できるのか
このような思想は当時の日本社会のリーダーたちには斬新なものでした。
福沢は性別や身分にかかわらずみんなに平等な権利を与えようとしたのです。
おそらくこれは日本文学史上初めての試みでした。
一刀両断
Know your own limits.
「学問をするには分限を知る事肝要なり。」
「分限」とは当時階級・配役・地位などの意味があり,乗り越えられるべきものではないと考えられていました。
本書で福沢が特に述べているのは,現代社会の中で強く生き延びるためには若者が学ぶべきこと
数学・歴史・生物学・道徳 どれも公立学校が取り入れ始めた最新科目です。
本書が出版されたのは1872年 日本で公教育が始まった年
実際に多くの小学校で教科書として使われていました。
現実社会で学び,そうして得た知識を用いて社会に貢献することを若者に説きます。
それが本書を通じて福沢諭吉が最も読者に「すすめ」たかったことなのです。
| 固定リンク
「翔太だって社会学」カテゴリの記事
- 【棚から一掴み】古川純『シリーズ日本国憲法・検証1945-2000 資料と論点 第四巻 基本的人権』(2019.08.24)
- 【棚から一掴み】阿刀田高『私のギリシャ神話』(2019.08.17)
- 【棚から一掴み】安田登『100分de名著 2019年5月号「平家物語」』(2019.08.10)
- 【棚から一掴み】夏目漱石『道草』(2019.08.03)
- 【棚から一掴み】荻上チキ『ディズニープリンセスと幸せの法則』(2019.07.27)
コメント