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「joyの家族社会学」 第24回・最終回

木曜Ⅱ限 家族社会学 後期試験問題

評定のポイントは以下の5つ。
1 内容の把握力
2 構想力・視野の広さ
3 想像力・発想力・独創性
4 表現力・説明力
5 熱意

96年1月11日(木)問題発表 → 96年1月18日(木)試験

Question.1
Question.1.1 「冬彦さん現象」の原因について論ぜよ。(15点)
【参考】 『ずっとあなたが好きだった』
父親不足・濃密な母子関係……親離れできない子供の存在と、子離れできない母親の存在。
 高学歴のホワイトカラーとして描かれた「冬彦」
夫婦間の対話不足……妊娠・出産・育児が恐い。

Question.1.2 「エディプス・コンプレックス」「エレクトラ・コンプレックス」の概念を用いて「冬彦さん現象」 を説明せよ。(15点)
【参考】 「エディプス・コンプレックス」「エレクトラ・コンプレックス」
エディプス・コンプレックス[英:Oedipuscomplex]:S・フロイトが明らかにした精神分析の基本概念のひとつ。幼児期の児童は、異性の親にたいして愛情を抱き、同性の親にたいしては敵意・憎悪を向けるようになり、そのために親から処罰を受けるのではないかという去勢不安をもつ。エディプス・コンプレックスとはこれらの観念複合体を指し、そのギリシャ悲劇「エディプス王」に由来する。このコンプレックスは二つに分けられる。
1陽性エディプス・コンプレックスで、異性の親を愛し同性の親を憎むもの、
2陰性エディプス・コンプレックスで、同性の親を愛し異性の親を憎むものである。
正常発達において、エディプス・コンプレックスは約3~5歳時の男根期に体験され、潜伏期を経た後、思春期に再体験されるものである。それは、人格構造の形成に重要な役割を演じるととものに神経症の発症にも大きく関わっている。
→:エレクトラ・コンプレックス 精神分析(学) フロイト コンプレックス 超自我
エレクトラ・コンプレックス[英:Electracomplex]:ユングが用いた精神分析の術語。父親にたいして愛情を、母親にたいして憎悪を向ける女性のエディプス・コンプレックスのことである。
1エレクトラ・コンプレックスにおいては、それまで愛情・依存の対象だった母親が憎悪の対象になること、また、
2ペニス羨望が生じることが特徴である。
→:エディプス・コンプレックス ユング
息子が母親に向けるものがエディプス・コンプレックス。娘が父親に向けるものがエレクトラ・コンプレックス。
「冬彦さん現象」は、エディプス・コンプレックスの結果生まれた現象。

Question.2
Question.2.1 夫婦間・親子間の家族内葛藤を、役割理論を用いて具体例を挙げて説明せよ。(15点)
【参考】 『晩秋』(原題"Dad")
役割取得[英:role taking]:人間が集団内の他者や、集団全体の一般化された他者の態度や観点を取得することによって自分自身を認識し、自我を形成する過程。自我の形成とともに規範を内面化する過程であるが、同時に他者の期待や規範の内容を解釈し、判断する認識過程でもある。
→:一般化された他者 規範 社会化 役割期待
役割(の)葛藤[英:role conflict]:社会構造の複雑化とともに、単一の行為者に大して複数の、多様な役割期待が社会構造や他者によって形成され、しかもそうした役割期待が相互に矛盾、対立していて、それを行為者が処理しきれないような場合に、行為者の内面で生ずる心的葛藤。
→:役割 役割葛藤
『晩秋』(原題"Dad")
ジェイクとベティーの夫婦関係:ジェイクは、成功精神分裂症(Succesful schzofernic)にかかり、"幸せな家族の幻影"を見ていた。しかし、彼のあまりにも大胆な行動に、ベティーはジェイクの妻への役割期待を認知できない。
ジョニーとジェイク・ベティーの親子関係:ジョニーは働き中毒(Workholic)で家族のことを顧みる機会がなかった。彼にとって、家族の中での役割期待はお金であり、役割取得は稼ぐという行為だと思い込んでいた。しかし、他の家族(特に妻)の役割期待は違うものだった。その結果、離婚した。彼は今回のジェイクの病気を期に自分が家族にとってどんな役割期待をされているのか考え、ジェイクの子供として役割を取得しようと努力した。
ビリーとジョニーの親子関係:ビリーの父親に対する役割期待は、お金ではなかった。しかし、ジョニーは自分の役割期待はお金だと思っていた。その行為にジョニーは役割葛藤を起こしてしまった。そのため、ビリーは家を去り、メキシコのコミューンへ行ってしまった。

Question.2.2 日本女性の家庭内役割取得行為の特徴を「ダブル・バインド」を視点に欧米家族と比較して論ぜよ。
(15点)
【参考】 ダブル・バインド(理論)
ダブル・バインド(理論)[英:double bind hypothesis]:ベイトソンを中心とする研究班が、1956年に発表した分裂症の病因と治療に関する学習理論。
(1)ある抜き差しならない関係(典型的には母子)において、
(2)第一次の禁止命令(例:「これこれをするな」)と
(3)それと矛盾する、メタレベルの禁止命令(例:「何をしたら怒られるかといちいち考えるな」)の共存が、
(4)そのコミュニケーション・パターンの特徴として繰り返し現れるとき、関係の一方に身をおくものが、分裂病的行動を見つけるというもの。したがって、その治療も、創造的・建設的なダブル・バインドの中で遂行されなくてはならないとされる。
分裂病の単位を個人ではなく、関係(家族のエコロジー)であるとする点と、
ユーモアや芸術などを含めて、複数のコンテクストが絡む現象一般を取り込む広さを持っている点、
これは単に分裂病の理論というより、そのような問題へ接する際に必要な、認識論的転換の提唱というべきだろう。
→:ベイトソン 青少年問題

Question.3
Question.3.1 性愛に関する歴史を前近代・近代・ポストモダンの3つの時代に区分して論ぜよ。(15点)
【参考】
性[性:Sex]:生物学的にみれば、性は、同一生物種における雌雄の区別であり、生殖にかかわる有機体の構造上・機能上の差異である。しかし人間の性は、単に生物学的現象であるだけではなく、つねに社会・文化的現象としての価値をもち、社会の制度や規範(例えば結婚制度、近親相姦タブー、性別役割規範など)によって型どられ、社会学の主題としても重要な意味をもつ。
まず第一に、人々を性別によって二分する社会的カテゴリーとして、性は、年齢などとともに社会構成(あるいは社会的役割文化)の基本的単位をなしており、その意味において社会学の主題たりうる。特に近年、いわゆる性別分業や性的役割文化のなかにひそむ女性差別の要素に照明が当てられ、男らしさ・女らしさの観念をふくむ性別役割の社会化過程、労働や教育における性別不平等、生活のさまざまな領域に浸透している性差別主義(セクシズム)のイデオロギーなどをめぐる批判的研究が盛んになりつつある。
第二に、性は、人間のもつ強力な欲求の一つとして社会学的関心の対象となる。それは人と人と強く結びつける力であると同時に、社会の秩序や道徳に反する行動人を導きがちな「無政府的な力」(ラッセル)でもある。そこで、この危険な、しかし生命の再生産に必要な力をそれぞれの社会がどのようにコントロールするかという問題も、性の社会学の重要なテーマの一つとなる。この面で、どんな社会においても中心的な役割を果たしているのは、性関係を規制しながら子孫の養育を可能にする結婚=家族の制度であるが、原題の先進的な産業社会では、避妊手段の発達の禁欲主義的道徳の衰退にともなう「性の自由化」の進展によって、これまで支配的であった近代欧米型の結婚=家族制度が動揺しはじめている。むろん、こうした動向のなかには、望ましい「解放」としての側面もあり、また性差別への反撃としての側面もふくまれているが、反面「性の商品化」の進行とあいまって、「解放」よりはむしろ「退廃」につながる側面もみられる。
→:家族 近親相姦 婚姻 主婦 女性解放運動 売春 フェミニズム
性愛[英:Eros/Sexual love]:性交や肉体的接触を媒介して、男と女、人間と人間を結びつけ、融合させる精神的エネルギー。人間の性的欲求の充足は、生物としての本能的な性衝動の発現に解消されえない。愛という一つの文化的価値を生み出す。20世紀初頭、性科学の創始者とされるエリス(Ellis.H.H.)は、性愛の悦びは、男と女、人間と人間が種々の因襲や伝統から解放され、対等な関係を創りあげて初めて実現するとしたが、この主張は、現代もなお新しい。
→:性、性解放
性解放[英:Sexual Liberation]:一夫一婦制と家族制度を支える伝統的な性規範、特に性道徳からの解放と、それによる人々の性行動の著しい変化の状況をいう。とりわけ1960年代後半に入り性行動の根底的な変化を経験したアメリカでは、「性革命」という表現も使われている。
第二次世界大戦後、なかでも1960年代後半から70年代にかけて、アメリカを中心に西欧諸国では、夫婦の生殖のため以外の性行為を罪と見なすキリスト教的倫理観のもとで抑圧されてきた性の快楽充足的な面が解放され、婚前・婚外性交、同棲、同性愛など、多様な非婚性交が一挙に増加した。人々の性行動のこうした急激な変化には、多様な要因が複合的・重層的・相互作用的に働いているが、主要なものとしては、
1国家や教会により維持されてきた社会秩序の動揺
2核家族化や都市化の進展による伝統的な性規範の弱体化
3科学技術の進展に伴う合理主義の浸透と宗教の無力化
4戦争による性の価値転換
5避妊技術の確立による性の生殖要素と快楽要素の分離
6女性の社会進出と、男性に寛大で女性に厳しい性道徳の二重基準の動揺
7性的成熟の早期化と平均寿命の上昇による性生活期間の延長、などがあげられる。
特にアメリカでは、1960年代後半から盛り上がりを見せた女性解放運動が、一夫一婦制度の内包する性道徳の二重基準性とその根底にある男尊女卑の思想に異議申し立てを行い、女性も人間として男生徒同様に制欲をもつという視点から性行為における女性の能動性を主張し、性解放の推進に大きな役割を果たした。こうした性行動の変化が、一夫一婦制の全面的な否定と崩壊につながるのか、あるいは結婚形態の時代の変化に対応した新しい形態への移行の壮大な実験であるのか、現段階ではまだ明らかではない。
日本では第二次世界大戦後、1960年代にかけての時期に、それまで儒教的な禁欲主義と家制度のもとで抑圧されてきた性の快楽的要素の解放が行われた。特に1960年刊の社国権『性生活の知恵』は、性を「生産」(生殖)でなく「消費」(快楽)と捉える視点をはじめて明確に示した著作として、日本人の性意識と性行動の変革に重要な役割を果たした。現在では日本人の性行動は、かつての家制度のもとでの、多くの性的タブーをもち、生殖のみの性を是とする抑圧的な性規範からは着実に解放されている。しかし、その反面で、社会のさまざまな領域に浸透した性肯定文化と、それを最大限に利用しようとする商業主義のもとで、女性の性がその人格から切り離され、たんなる刺激物としてモノ視され商品化されるという、新たな抑圧状況が生まれている。また伝統的な性規範からの解放も男女間で同じ方向に進んでいるのではない。一夫一婦制に象徴される伝統的な性規範を逸脱した場合の社会的制裁は、一般的に男性より女性に厳しく、その点で性道徳の二重基準は依然として生き続けている。
→:性革命、女性解放

前近代:女性は出産・育児を専門とする性役割を任された。労働力の再生産 制欲はなく、受身の性のみが存在した。
近代:女性も快楽を求める 但し夫婦間のみの性交渉で、婚前交渉は不可。
ポスト・モダン:互いに知り合うための性交渉。不特定多数の相手・同性間交渉も認める。
快楽が目的であって、妊娠が目的ではない。

Question.3.2 あなた自身における性愛についての考え方を上記3区分のいずれかに位置づけるかを理由とともに記せ。(15点)
中学生の頃の話。性に関する授業。
現在の話。

Question.4 あなたがこの講義で最も興味を引いたテーマを興味を引いた順番に10ヶ挙げよ。(10点)
1マザコンの発生過程~『ずっとあなたが好きだった』における「冬彦さん」現象
2ポストモダンにおけるエスニシティーの重要性
3日本人のコスモ・ポライトへの動き(在日外国人問題認識)
4阪神大震災の災害弱者は在日外国人
5ポスト・モダンの自画像~多重人格
6ショッキングな「高校教師」
7『商品』としてのトレンディドラマ
8家庭内の役割理論~『晩秋』を見て
9有責主義と破綻主義~離婚の考え方
10「マドンナ」に見るユニセックスとバイセックス

 これで,「joyの家族社会学」も終了。
 今思い返すと,非常に意義深い時点で家族社会学を習ったような気がする。今,社会学を巡る問題の基に家族の問題が挙げられるのでは?とも気がする。これからも,家族社会学の視点を持ちながら生活していきたい。

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