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「joyの家族社会学」 第20回

 第10回 日本国際保健医療学会総会 ワークショップIX 1995.10.29 於 東京大学医学部
 阪神・淡路大震災と在日外国人-災害と被災のモデルとして:災害弱者と社会科学-
 東洋大学 喜多川豊宇(きたがわ とよいえ)

 自然災害である地震は,平等に阪神・淡路地域を襲った。しかし,被害者は、平等に発生はしなかった。低地である長田区の被害は,他に比べて甚大であった。災害は,極めて社会的である。生活構造・居住環境・階層構造など優れて,社会的な地域特性が,そのまま表れている。いわば,災害は,人間社会の矛盾をあぶりだした結果となった。
 自然災害は,平等に人間社会を襲っても,被害発生は,優れて社会的であるという現実を痛いほど見せつけられた。ここに自然災害の社会科学の存在理由を認識させられたといえる。地震そのものは自然科学の範疇にあっても,災害は,社会科学の範疇に含まれることを阪神・淡路大震災は教えてくれた。

【I】在日外国人問題認識のための序論
(1)近・現代史理解は人口爆発・移動がキーワード
 人類史=ヒトの移動(移民・移住)から歴史を再構成
 人口爆発・膨張→人口移動(移住)の連続史(ことに近・現代史)
(2)移民・移住コンセプトの変化
 ライフ・スパン(生涯)→ライフ・ステージ(ライフ・サイクル)へ
 水杯から通勤感覚へ
(3)距離感覚の革命:地理的距離から時間・経済距離へ=遠くないブラジル
 移民・移住をテクノロジーがサポート:ジャンボーによる移動とファックスによる情報伝播
(4)移住者からコスモ・ポライト(世界市民)へ
(5)クニの国際化からヒトの国際化へ(クニからヒトへの急展開)
 国際化(国と国の際)→人際化(人と人の際),文際化(文化と文化の際),地際化(地域と地域の際)

【II】外国人の居住と主要傾向
(1)外国人居住の集中化
 広域化傾向をみせながらも,外国人居住は,一定の集中点・結節点をみせている。首都圏地域での集中化はもちろんながら,地方の中小都市の中でも,特定の都市へ集中化。外国人登録者が最高位にある港区や豊島区と並ぶ地方都市も出現(例:群馬県大泉町人口8.5%外国人。ブラジル村と言われる。)。旧来からの,在日朝鮮・韓国人の阪神地区,特に長田区への戦前からの集中は周知。これに加えて,ニューカマーズが近年,集中。
 民団登録の世帯数を見ると,1994年12月末で,2,359世帯である。これは総世帯数9,192の25.7%,長田区や須磨区など史に神戸に集中していることを示す。
(2)同じ国籍者中心の同心円社会形成
 外国人居住者は,一様に高い言語・文化障壁をもっている。比較的日本語能力のある先住外国人が居住集団の中心(キーパーソン)がいて,同質性の高い,同心円社会を形成している(こうした閉ざされた社会は,移住者に共通にみられる現象である。例:キスト社会,モザイク社会=ブラジル)。
 本調査研究では,在日コリアン(民団役員リアン文化研究者),在日ベトナム人(ベトナム料理経営者,初期留学組),在日フィリピン人(神戸フィリピン・コミュニティー幹事),在日中国人(留学生団体幹事等),在日日系ブラジル人(人材派遣業ルート:群馬県大泉町),アラブ系(イスラム系モスク宣教師)などなど21カ国の外国人にインタビュー。
(3)居住外国人の多国籍化
 阪神・淡路大震災でも,死亡した外国人の国籍は,11カ国に及ぶ。永住者を除く,ニューカマーの多国籍化の進行は著しい。兵庫県に外国人登録された国際総数は,113カ国に達する。また,神戸市・阪神地域だけの登録国籍総数でも96カ国を数える。
 多言語アプローチが必須:日本人から見た外国人は一つのカテゴリー:外国人からみたら,回りは全て外国人
(4)ニューカマーズ外国人の定住化傾向:広域ネットワーク社会形成
 一過性の短期で稼ぎ型から,日本の社会の一角に確実に根付き始めた。大都市,中小都市に限らず,外国人の居住地は,次第に広域化。地方の市町村レベルの自治体でも,外国人居住は広まる。神戸市においても,定住の歴史や程度の差はあれ,様々な外国人のコミュニティーが形成。また,こうしたコミュニティーは,ネットワーク社会と言うべき性質をもち,物理的に隣り合って暮らすというより,一定の結節点(ノード)をもちながら,点在する定住外国人が網み目状に広がりながら,連携を保つ。
 長田区のコリアンや中華街の中国人のような「住み分け社会」の他に,ニューカマーズのネットワーク社会が次第に形成。
(5)外国人と日本人住民との地域社会での高い壁:セグメンテーション
 職場でともに働くことは進んでいるが,職域を離れた,地域社会での日本人社会とのコミュニケーションは少ない。日本人社会との間に人間関係の壁がある。ベトナム人は,彼らだけで,テント生活を送っている。避難所生活でも住み分け。南北ベトナム人は,テント村のなかで,さらに住み分け。

【III】阪神・淡路大震災と在日外国人の被害
#01 研究調査の契機
 災害弱者としての外国人研究委員会所属(自治省:廣井東大教授座長)
 (1994年4月~1995年3月)
#02 外国人火元の火災通報事例僅少
 (言語問題,責任問題,地域社会へのアタッチメント希薄,オーバーステイ問題など)
#03 阪神・淡路大震災外国人被害実態調査(国土庁・野村総研,建設省・建設技術研)委託調査
(1)在日韓国・朝鮮人の1割弱=5万人以上。
(2)加えて,ベトナム,フィリピン,日系ブラジル人などの100カ国に及ぶニューカマーズが居住。
#04 高い在日外国人被災死亡率
A) 全体死亡率   約0.20% 5,373/ 2,658(千人)
B) 外国人死亡率  約0.29%  225/ 76,597(千人)
C) コリアン総数  約0.28%  152/ 53,861(千人)
D) 長田区コリアン 約0.67%  63/ 9,208(人)
E) 長田区外国人  約0.86%  89/ 10,319(人)
F) 長田区総数   約0.58%  728/126,405(人)
G) ブラジル人   約1.33%   8/ 600(人)

【IV】災害弱者の在日外国人
(1)外国人は住宅弱者
 大都市中心部のインナーシティーにおける老朽化した木造アパートへの過密集団居住傾向や,風俗営業ブローカーによる囲い込み居住,中心都市周辺部の社宅や寮や会社契約のアパート,公的な団地の人材派遣業者による集団借り上げなどがある。
 阪神・淡路大震災の死者の多くは,老朽化した木造家屋の下敷きになって死亡。神戸市長田区は,在日韓国・朝鮮人の地場産業であるケミカル・シューズの集中地域。
 民団加盟の9,192世帯の内,1,159世帯が全壊,621世帯が半壊であるが,全壊家屋の54.7%,半壊家屋の32.7%が長田区などに集中している。また、本調査で実施したアンケート調査では,木造一戸建て53.8%,木造アパート10.8%,コンクリート一戸建て8.9%,コンクリートアパート19.6%と,木造が60%を超えていることが証明される。
(2)わけても,高齢外国人は災害弱者
[1]家屋の被害と年齢:60歳以上の家屋の全壊率は70%を超える。
 N=155 区分 全壊,半壊,軽佻,全くない
[2]火災区分と年齢:加齢とともに全焼率が高まる。20歳代15.79%,30歳代10.00%,40歳代24.32%,50歳代35.48%,60歳以上31.25% N=133 高齢者木造家屋居住多い。
[3]けがの程度と年齢:けがは60歳以上に多い。重傷者も60歳以上に多い。重軽傷者率は60歳代以上は42.9%であるN=139
(3)外国人女性は災害弱者
[1]女性の家屋被害が男性を上回る。全壊 男性=48.94%,女性=64.95% N=144
[2]女性の方が避難所へ非難するものが多い。男性=57.14%,女性=74.29% N=161
(4)外国人は情報弱者
 在日コリアンを除いて,外国人の多くが母国語メディアを情報源としていることである。新聞,雑誌,パンフレットなどの,日本や母国で発行される母国語のメディアと口コミが,コミュニケーションの主な源泉である。震災を契機に多言語ミニFM開局。同一の言語・文化団結する形となった。そして*「口コミ」を主に使用した独特の情報回路が活躍するのである。
*personal influence

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